リーズナブルに和歌山の天然クエを味わいまくりたいなら『平佐館』に泊まろう!【由良町】

平佐館 宿

 クエ、美味しいよね。しかし良いクエ料理はビックリするくらい高い。それでもせっかく和歌山を旅するときには、落ち着ける宿で、お得にクエ料理を食べたい!そんな人にぜひ宿泊してほしい旅館が由良町の『平佐館』だ。

平佐館

 実際に宿泊してみて、あんなに素晴らしい旅館なのに、ネット上には観光での平佐館の宿泊者による情報があまりにも少ない。これは大変なことだと思い、私が平佐館の魅力的だったところを備忘録的に書いていきたい。絶対にまた泊まりたい旅館だから。

 宿泊料金は基本的には7,000円(税別)からだが、私はせっかくなので天然クエ鍋料理フルコースがついて一泊二食付き一人17,000円(税別)のプランをお願いした。人によっては高いと思うかもしれないが、これがどれほど良心的な金額なのか、後で思い知ることになる。

 由良は大学の部活動で訪問したことがあった。その時は、日中はハチャメチャに稽古。夜から朝にかけては港湾・造船業の住み込みで働かれている方々が使用するタコ部屋一歩手前の部屋しかない宿泊施設で、デカいゴキブリと無茶飲みの酒とともに過ごした思い出しかなかった。それはそれで今となってはいい思い出だが、平佐館は当時のつらい由良の地の記憶を塗り替えてくれる、ステキな旅館だった。心の広い先輩や後輩、同級生たちには本当にお世話になった。感謝してもしつくせない。

とっても綺麗で清潔な館内

 玄関に入ると、チャーミングな女将さんが出迎えてくれた。旅館と宿泊について親切な説明を受けて、部屋へ向かう。

平佐館

 宿泊部屋は全室和室。私は由良港の見える部屋に案内してもらった。部屋はすぐに畳へ横になってしまいたくなるくらいに清潔にされていて、窓からの眺めもいい。

平佐館

 広縁にある椅子に座ってしまうと、動けなくなるくらいに気持ちがいい。静かな海から聞こえる音を感じながら、何分でも外を眺めていられる。尻から根が生えたように腰が持ち上がらなくなる。

平佐館
平佐館

 いい感じの浴衣と平佐館タオルも準備されている。

平佐館

 平佐館コップで飲むお茶も美味しかった。

平佐館

 部屋の中も、廊下もとても綺麗にされていて、気の置けない友人たちと、観光の途中にこういう旅館で過ごせたら最高だろうなと思った。旅感もあるが、アットホームで心地の良い宿だ。

平佐館

こんなに美味しかったのか。感動、平佐館のクエ料理

 ご飯は食堂スペースで食べる。この雰囲気、落ち着く~。

平佐館

 さあ、平佐館のメイン、クエ料理の始まり。鍋の具は二人前の量。実はクエは初めて食べる経験。その土地でいただくハイパー高級魚の料理、テンション上がる。

平佐館

 クエ、見た目がプリッとしてて肉厚。皿の左のほうに盛られているのが出汁を出す用のクエのアラ。右の切り身が主役のクエだ。女将さんに「切り身は煮すぎないように気を付けて」とアドバイスを受けて食べる分だけ少しずつ鍋に投入した。

平佐館

 さすが超高級魚のクエ、味も食感も他の魚とは一線を画していた。今までに食べた鍋料理の魚の中でも、群を抜いておいしかった。私的魚の鍋ランキングでずっとトップだった北海道料理のかじか鍋を超えたかもしれない。クエは脂が乗っていて、肉も旨味もぎゅっと詰まっているのだけれど、淡白な感じの味。締まった身が口の中で、ぷりん、ほろりと崩れていく。無限に食べられる気持ちになるけれど、身の枚数には制限があるので、大事に大事に食べた。もちろん、アラも食べられるので、言葉の使い方は違うが文字通り骨の髄までしゃぶり尽くした。

平佐館

 鍋の具は平佐館オリジナルのポン酢で食べる。旨味たっぷりの鍋の具の味に、橙のサッパリ感があるポン酢はベストマッチだった。

平佐館

 クエは刺身も美味しい。弾力のある食感。噛むほどに美味さが出てくるので、食べていて楽しい。えっ 一人でこんなにたくさんクエのお刺身を食べていいのか!!と思いながら食べた。気分はさながら狂四郎2030の宇治田のようだった。うめ うめ うめ。当然おかわりはできないし、その後の訓練はないけれど。

平佐館

 クエ寿司。贅沢だぜ。鍋のうま味が口の中に充満している合間に食べるのにもってこいの料理だった。大切な二個なので、タイミングをものすごく考えて寿司は食べた。

平佐館

 夏野菜とクエのソテー。手前の黄色い八朔胡椒をつけて食べる。この由良の特産品である八朔を使った平佐館オリジナル八朔胡椒も激ウマ。八朔胡椒はソテーにだけではなく、鍋のクエや刺身にも付けて食べたりした。それくらい美味しかった。店で出す調味料の枠を超えて、町のお土産商品になったということも納得。

平佐館

 ちょうど頼んじゃおうかな~というタイミングで来た、クエのひれ酒。ひれから染み出ている旨味と広がる香ばしさ。カーッとなるような温度の熱燗。鍋や刺身のお供として飲むとクラクラしてしまうくらいに合う酒だった。

平佐館

 シメは、クエのうま味が十分すぎるくらいに染み出た出汁を使った雑炊。汁一滴、米一粒も残すことなく食べた。女将さんも思わず笑っちゃうほど綺麗に食べ尽くした。こんなに美味い料理を、ほんのわずかでも残してたまるもんか。

 女将さんがおっしゃるには、最高の美味しさが味わえる十分な大きさに育った天然のクエは、名産地である由良をはじめとした和歌山でもなかなか獲れないらしい。クエ料理をアピールしている由良や白浜のお店でも、実は福岡県方面から取り寄せたものを使っているお店もあるほど。しかし平佐館は、せっかく由良に泊まったなら地元のクエを食べてほしいと、独自の仕入れルートを確保して、年間を通して和歌山の海で獲れた美味しいクエを訪問者に提供していると伺った。とてもありがたい気持ちだ。そして間違いなく和歌山のクエを食べられるということが、宿泊する宿として平佐館を選んだ理由でもあった。

平佐館

 デザートの梨。かわいいね。これも美味しい。平佐館の料理、全部美味しい。すべての料理を食べ終わったあと、私は自分の体の中から発せられる満足感と幸福感に包まれていた。

平佐館

 朝ごはんは、前日と打って変わってザ・旅館といったスタンダードな和食。しかし丁寧に作られていて、とても美味しいものだった。旅の始まりには十分。活力が得られる食事だった。

平佐館

他にも、平佐館はこんな感じ

 平佐館の大きな浴室。女性向けや家族で使える小さな浴場も別室にあった。

平佐館

 由良湾には海上自衛隊の由良基地があるため、潜水艦等もよく停泊する。私が宿泊した日もたまたま他の地域の自衛隊が運転する潜水艦が由良港に停泊する日であったため、平佐館には多くの海上自衛隊の方が宿泊していた。夜遅くに宿に来て、私が起きる前には出発していた。お疲れ様です。消耗した体力の回復と明日へのエネルギーが必要な、海上自衛隊の方々が定宿にしている平佐館。信頼感ある。

平佐館

 カウンターでは、平佐館オリジナルのポン酢や八朔胡椒も買うことができる。

平佐館

 平佐館では天然のクエだけでなく、近畿大学が養殖に成功している、いわゆる近大クエも味わうことができる。宿泊時の料理も、天然のクエではなく近大クエに変更できるらしいが、やはり天然のクエとは少し味や食感が違うとのこと。料金も何千円か安くなるので迷いに迷ったけれど、天然のクエ料理を選んでよかった。ナイス判断私。しかし養殖のクエの味もそれはそれで独自の良さがあると女将さんがおっしゃっていたので、いつか食べ比べをしてみたい。

平佐館
平佐館

 平佐館はイカダ漁用のイカダや船も所有している。ランチ時には、注文後に道路を渡ってこのイカダから、釣ったばかりの活きのいい魚を持ってくる光景に、ランチ客も驚くそう。

平佐館

 旅館に到着したあとに貼り紙を見て知ったのだが、平佐館は少し前に流行ったDA PUMPのU.S.A.を替え歌にして、旅館の魅力を発信していた。これがなかなかのクオリティで私は好きだった。宿泊した部屋でゴロゴロしながら見るにはもってこい。ご親族やお客さんたちと協力して平佐館の良いところを手間をかけて発信されている映像を見て、この旅館はとても愛されているんだなと感じた。

平佐館

 宿泊した部屋から見えた景色。朝、港に停泊している潜水艦へ、旅館の前から小舟を使って自衛隊の方が出勤していた。

平佐館
平佐館

 訪問時、平佐館は今の宿の隣に新しい宿を建築途中だった。ビジネスや自衛隊の方、サイクリストなど1~2名で部屋を利用する宿泊客が多くいることから、こちらはそうした客により対応しやすい旅館として令和3年の12月ごろから稼働していく計画だそう。うれしいね。とても気になるので、次に宿泊するときにはこちらを利用したいな。

平佐館

 私は宿泊での利用だったが、多くの客はランチを食べるために平佐館を訪れる。地元名物の食材を使ったしらすランチやあかもく丼は、美味しいだけでなくSNS映えもするので特に人気の様子。

平佐館

 平佐館で初めてクエ料理を食べてよかった。とても思い出に残るものになった。これで一泊17,000円は絶対に安い。他のクエ料理の店や、和歌山県内のスーパーで売られているクエの値段を見て比べると、平佐館がどれだけお得なのか痛感する。

 美味しい料理も、心地いい部屋も良かったけれど、何よりも女将さんをはじめ働いている方々皆さんの温かい気持ち伝わって嬉しくなる。それが平佐館の一番いいところだったと宿泊後に感じた。

 宿泊して後悔しない旅館なので、このブログを見た皆さんも紀伊由良に宿泊するときには、ぜひ利用してクエ料理を堪能してほしい。

2021年9月訪問

「平佐館」について

アクセス :JR紀勢本線 紀伊由良駅からタクシーで5分

      広川ICから車で20分くらい
住所   :和歌山県日高郡由良町吹井715
公式サイト:http://hirasakan.jp/index.html


活き〆 幻のクエ(宇和島産)2.5kUPサイズ(5~6人分)