日本全国には、一風変わった道の駅が数多く存在する。その中でも、熊本市天草市にある道の駅「宮地岳かかしの里」は、そのユニークさで訪れる人々を魅了している。
宮地岳かかしの里とは?
宮地岳かかしの里は、2012年に廃校となった旧小学校を改装し、2021年にリニューアルして道の駅としてオープンした施設だ。総工費は約3億9千万円。本気だ。廃校を再利用した道の駅は、当時では全国で3例目、西日本では初の試みだったのだそう。この旧校舎の二階には多数のかかしが展示されていると聞き訪問した。
宮地岳かかしの里の一階は道の駅となっており、旧図書室では地元の名産を多く販売している。宮地岳は天草の中でも下島のほぼ中央、周囲を山に囲まれた農村地帯であるためか、豊富な地元の名産品が揃えられていた。
地元の名産を使ったレストランも併設されている。
教室で楽しそうにするかかしたち
二階はかつて小学校だったころの様子がそのまま残されている。そこで楽しそうにしているのは子供たちかなと思いきや、かかしたちだった。
かかしたちに交じって、授業を受けてきた。
かかしたちは皆、楽しそうだ。
それにしても宮地岳かかしの里のかかしたちは、みんな表情が良い。感情豊かで今にもしゃべりだしそうだ。
泉谷しげるかかしもいた。リアルだ。
宮地岳の有名な祭、かかしまつりで使われるかかしたちが窓の向こうから笑顔で見てくれていた。
でも、この様子はパニック映画で見たような感じかも……とも思ってしまった。
結婚式もあげていた。
かかしまつりの魅力
「かかしまつり」は、宮地岳地域の人々が一丸となって作り上げる、この地域ならではのイベントだ。このかかし祭は、平成20年に宮地岳町豆木場地区の高齢者ふれあいサロンの参加者が、生きがいづくり、健康づくりを目的に制作し、展示を開始したことをきっかけに翌年から展示を開始、平成24年から村祭りとなった。
かかしづくりの最初期の参加者の中に能面づくりが得意な方がおり、かかしの顔は堀の深い目元や鼻筋が特徴の表情豊かなものになっていったそう。当初は十数体だったかかしも年々増え続け、とんでもない数になっている。
今にも動き出しそうな580体以上ものかかしが繰り出す祭は、毎年大きな話題となっている。旧校舎にいるかかしたちを見ているだけでも、その表情やポーズが一体一体異なり、見ているだけで楽しい気持ちになれる。そのかかしたちが一斉に外へ飛び出すのだ。
また、祭りの期間中は、地元の食材を使った料理や、手作りの工芸品なども販売され、地元の魅力を感じることもできるそう。
地元の高齢者が作り続けた作品たちを使った祭は様々な人を巻き込むようになり、祭の開催期間中には3万人以上集客する人気の催しとなっている。子供が減り閉校した小学校、地元高齢者と地域の課題を逆手に取り投資して地域活性化に役立てている、画期的な地域だった。
旧小学校の外、校庭にもかかしたちは暮らしている。
外にいるかかしたちは躍動感がある。
楽しそうだ。のびのびしている。
宮地岳かかしの里はただ珍しいだけでなく、かかし作品を通じて地元の人々の温かさや、地域の文化を感じることができる場所だった。
次に天草を訪問するときには、かかしまつりの時期に合わせて行き、地元の人々の熱意と創造力が詰まった大量のかかしたちを目にしたい。
2022年1月訪問
「宮地岳かかしの里」について
アクセス :熊本市街から車で3時間
住所 :熊本県天草市宮地岳町5516−1
営業時間 :9:00~18:00(冬季は17:00まで)