野生のムササビが飛び交う「ムササビ寺」として有名な愛媛県宇和島市の由緒ある寺『大楽寺』 。この寺にはものすごいコレクションがあると聞き訪問した。
まるで宇和島のミカン畑の傾斜のような階段を上った先にある。
博物館並みのカメラコレクション
築約350年を超える立派な本堂前に到着し、浅野和尚に挨拶をしたところ、ありがたいことに快く中を案内していただいた。本堂横には、先代と現在の浅野和尚が集めた親子二代にわたる圧巻のカメラコレクションがあった。これはもうさながら私設博物館だ。
浅野和尚のコレクション見学やカメラ談義をするために、世界中から大楽寺へ訪問客が訪れるとのこと。
浅野和尚はお話を始めると止まらない。しかもお話が分かりやすい。カメラ初心者の私にはもったいないくらいのスペックのカメラや秘蔵のカメラについてご説明していただいた。 保存状態やカメラ部屋を作った経緯、和尚でありながらカメラにのめり込んだ過去のエピソードを聞くと本当にカメラを愛されているのだなと感じた。
もう見ただけで背筋が伸びたり、前のめりになったりしてしまうカメラもたくさん見せていただけた。
非常に細かく整頓されたカメラがケースの中で展示されていた。
カメラコレクションについて一通り説明を受けて感じたのは、これだけのカメラを収集できたのは、浅野和尚のお人柄だからこそ為せたもなのだろう。押し付けるような説明ではなく、丁寧に話されて、こちらの質問もよく聞いてくださる。そして朗らかな性格。手に入れたものは丁寧に手入れして展示する。きっとそうした浅野和尚だからこそ、長年のカメラ収集家の間での情報交換のためのコネクションが続いてきたのだろう。
カメラだけにとどまらない浅野和尚のコレクション
過去には先代の浅野和尚が集めた莫大な数の昭和の機器の民俗資料館や、AV機器、和尚の発明品の建物があったとのことだが、セキュリティや置き場所の問題から、残念ながら現在は閉鎖されていた。
起動させると羽が虹のように見える扇風機。
本堂には宇和島港に立ち寄った船の写真がたくさん飾られていた。
テレカコレクションもきれいに整頓されていた。カメラ以外にも様々なコレクションをお持ちの、非常に多趣味な方だった。
大楽寺はカメラの他にも、丁寧に手入れされた、四季折々の様子を見せる敷地内の日本庭園を見学するために訪問客が絶えない。
「ムササビ寺」の所以とは
大楽寺がムササビ寺と呼ばれる所以は、この付近に住む野生のムササビを稀に境内で見ることができるからだそう。境内に立つ立派な大銀杏をよく見ると……
(画像ではわかりにくいが)ここにムササビが付けていった傷がたくさんあるでしょうと浅野和尚が説明してくださいった。この背の高い銀杏の木を利用して、ムササビが様々な方向に飛び移っていったそう。しかし最近はその数も少なくなり、ムササビの姿を見られるチャンスは減ってきたとのこと。
見どころがたくさんある大楽寺。とてもご親切な浅野和尚は大切な時間を割いて、建物内へと招いてくださり、貴重で高価なカメラをたくさん見せてくださります。こんな貴重な経験ができることはないので、当たり前の話だが、訪問時にお話を聞くときにはリスペクトの気持ちをもって礼儀正しくするようにしよう。
2020年8月訪問
「大楽寺」について
アクセス :JR予讃線 伊予吉田駅から車で15分
お寺の見学は自由だが、コレクションを見たいときは事前連絡して相談したほうがよい。
住所 :愛媛県宇和島市吉田町河内甲1703