『種よし』は全国の美味いもんと活気が溢れ出す短冊酒場だ【天王寺区】

種よし 珍スポット

 天王寺駅を北に抜けてすぐにある阪和商店街は戦後の闇市を起源とした商店街で、現在25軒程度の飲食店が建ち並ぶ。その中にあるのが短冊の文字にまみれた立ち飲み屋『種よし』だ。

種よし

 外観を見てのとおり、とにかくメニューの短冊が貼り付けられまくっており、文字の量に圧倒される。

種よし

短冊の多い店は良い店だ(私調べ)

 店内に入ると、プレスリーのビラビラよろしく、ここも細い短冊メニューが店内にビッシリ!その数300種類以上。なにも事情を知らない人が見たら電波ハウスかと思ってしまうかもしれない。これが問題なく受け入れられているのが大阪クオリティ。この店構えの段階で普通の居酒屋とは違うという予感で、かなりの期待が高まってくる。

種よし

 店内に所狭しと貼られているメニューは、店主の田島さんが全国を巡り入手した、珍味から絶品まで様々なアテの名が書かれた短冊だ。店内を眺めているだけでも「このメニューどんなんやろ?」と楽しめるエンターテイメントがある。どれを食べたらいいのか迷ってしまうが、自分の直感を信じて注文しよう。裏切られることはない。

種よし

 店内はとても狭い。コの字のカウンターに向かい一列に並んで立つ。すれ違うにも一苦労だ。隣の人と超密着してガチャガチャした中で酒を楽しむので、かなりの高揚感が生まれる店だ。譲り合い精神でギチギチに詰められた客同士は、両サイドをミリ単位で気配りしながら酒と肴を楽しむ。知らない人同士、肘を突き合わせながら飲んでいると、自然と仲良くなったりする。それが店全体の雰囲気なので、毎日かなりのグルーヴ感が生まれている。エネルギーに満ち溢れた店だ。

種よし

 カウンターの中も超狭いのにそこで調理をして、あれだけの種類のメニューのどれを注文しても出てきてしまう。ビビる。種よしのカウンター内は四次元空間なのかもしれない。

個性的な酒場で個性的な肴を

 種よしでは普通の居酒屋によくあるようなメニューから、マグロの様々な部位や馴染みのない種類の魚の刺身、希少部位、サソリ、イモリ、ジビエ、全国の珍味等、様々なメニューがある。

種よし

 らくだのコブって天王寺で食べられるんや……

種よし

 名前に一瞬ビックリするけど、ばばあという魚の鍋。

種よし

 鯛の刺身が280円は破格すぎる。しかも美味い。

種よし

 数々の酒の肴の中で私のお気に入りは、海のレバ刺しと呼ばれる「エイの肝」。レバ刺しが好きな人は絶対に食べてほしい。私を信じてくれ。牛レバーを濃厚にしたような味がする。プリプリなのにトロリとした食感。ビックリした。

種よし

 行くたびにエイの肝は注文してしまう。

種よし

 種よしのどのメニューを食べても感じることは、注文されて切って捌くだけ、焼いたり揚げるだけ、という単純な調理ではないことだ。プラスアルファで必ずひと手間加えられている。そんな客思いのメニューを格安で食べられるからこそ、天王寺の路地裏でもファンが絶えない人気店になっているのだと思う。

 あら塩で食べるカツオのたたきも好きでよく注文する。

種よし

 あん肝も美味い。

種よし

 オススメされて食べたうつぼも美味かった。

種よし

 酔っぱらって注文した謎の唐揚げ。ワニかな?カレーパウダーを付けて食べると美味かった。

種よし

 イカの沖漬け的なルイベ的なやつ。めちゃ美味い。

種よし

 種よしの名物はまだある。この店になくてはならない存在が、女将さんだ。客の注文を聞き、店員さんに指示を出し、いつも狭い店内を出たり入ったり超ハッスルしている。客はどんなに酔っぱらっていても女将さんの言うことは聞くし、そうあらねばならない。
 お決まりなのが、店を出るときに女将さんに火打ち石で背中をキンキンキンキン!と厄除けしてもらうこと。終わったらバシンと叩かれてお互いにガッツポーズだ。今日は楽しかった。明日からもがんばるぞという気持ちになれる。必ずしも万人受けはしない店かもしれないが、間違いなく大阪の〝ええ店〟やで。

種よし

 天王寺での大阪観光の夜は、種よしのすぐそばにある宿の葆光荘にチェックイン後、ベルリンの壁大阪城、天王寺公園や新世界を散策、種よしで気になる肴を楽しんだ後すぐに爆睡して葆光荘の朝ごはんで元気全開!この黄金コースで決まりやね!

2008年くらい初訪問

「種よし」について
アクセス :JR、地下鉄 天王寺駅から徒歩3分
住所   :大阪府大阪市天王寺区堀越町15−13
営業時間 :15:00〜23:00(水曜休)