もうメチャクチャだよ。『丹八山公園』は信じられない内容の石碑だらけ【名古屋市】

珍スポット

 珍スポット巡りを趣味にするようになって、旅先の石碑をよく見るようになりました。そこで、石碑を見に行って一番疲れた場所について書きます。

『丹八山公園』で石碑の迷宮を歩く

 名古屋市南区に位置する「丹八山公園」は、標高たったの11メートルという控えめな「山」。名古屋で一番低い山だ。しかし頂上に登ると、思ったより眺めは良い。

 その高さ、地形以上に目を引くのは、まさに圧倒的な存在感を放つ石碑群の数々。夜はちょっと怖いだろうな。

右端には平将門の首塚……いいのか?

 平将門の首塚や浦島太郎の生誕地、壬申の乱の出兵、果ては豊臣秀吉や織田信長、ハワイの国王の逸話まで取り上げた石碑が50個以上乱立している。歴史カオス状態だ。しかし、これらを真に受けてはいけない。しんどいだけだ。

内容も字も荒唐無稽な石碑たち

 公園内を歩けば、何とも言えない手作り感溢れる家説が記された石碑が目に入る。その内容は驚きと困惑の連続だ。「織田信長が逃亡した場所」の石碑があったかと思えば……。

 たとえば「浦島太郎の生誕地」と彫られた碑文のすぐ近くに、「平将門調伏塚」とある石碑があったりする。(平将門の調伏については、丹八山に由来があるかもしれないらしい)

 豊臣秀吉の出生地の碑があったかと思えば、

 豊臣秀吉の墓(京都)が云々……

 しかも字は不思議なほど雑。もうちょっとマシな字を彫れる人いたでしょ。

 尾張の三名山は、犬山、小牧山とこの丹八山らしい。(謎の俳句付き)

 歴史上の有名人物が生まれたとか死んだとか来たとか出たとかばっかりだ。しかし、これだけ熱意があるなら逆に感動だよ。

伝説の易者が残した遺産

 この公園の元は、昭和時代に活躍した易者・石川丹八郎氏の私有地。そんな人いたんだ。彼は風水や易学に基づき、謎めいた碑文を次々と石に刻み、土地を「丹八山」と命名したそう。自分で自分の名前の山を造るエネルギーがスゴイ。その後、この土地を名古屋市に寄付したことで公園として整備されたそう。ただし条件として、彼の作った石碑群をそのまま残すことが付いていたとか。

訪れる際の注意点

 丹八山公園は名鉄名古屋本線「本笠寺駅」から徒歩でアクセスできるが、カーナビ頼りの車での訪問は要注意。弦月宝生線から路地に入って西側からアクセスしてはいけない。

 住宅街を抜ける道が狭く、コンパクトカーでも電柱や住宅の塀にこすりそうになってしまう。 特に丹八庵を抜けて少し北に行くときがヤバイ。運よく車を擦らなかったが、50メートル進むのに20分くらいかかってしまった。(通行人が来なくて本当に良かった……。)

 車なら公園の北側からアクセスするか、徒歩や公共交通機関を利用したほうが安全で快適だ。

 また、前述の易断所「丹八庵」で〝丹八山登頂証明書〟を入手できるそう。私は疲れからかすっかり忘れていて、もらいそこねた。

丹八山公園で感じる、ユーモア精神

 この公園は、真剣に歴史を学びたい人にはお勧めできない。しかし、ギャグとして楽しめる方や珍スポット愛好家のように「荒唐無稽なものを愛でる力」がある方には絶好のスポットだ。

 歴史と創作の狭間を行く、愛すべきカオスをその目で確かめてみるといいだろう。丹八山公園には、不思議な魅力が秘められていた。

2023年10月初訪問

「丹八山公園」について

アクセス :JR笠寺駅から徒歩15分
      名鉄本笠寺駅から徒歩12分
住所   :愛知県名古屋市南区笠寺町迫間51