福井県若狭町の山中に、『三方石観世音』と呼ばれる寺院があり、弘法大師が彫ったとされる右手首が無い石観世音菩薩が秘仏として祀られている。この石観世音はその様子から「片手観音さん」とも呼ばれ、手足の病にご利益があるとして多くの人々に信じられている。片手観音は秘仏なので、普段は見ることはできない。
私は参道の入口に車を停めて徒歩でお参りをした。本堂まで登りきるまでに少し距離があるのでいい運動になった。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/img_725129084055741701875931-1024x768.jpg)
参道の坂は長く続くが、新緑の光景を見上げながら歩くのは楽しく、苦にはならなかった。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/img_725228694156984567191067-768x1024.jpg)
およそ千二百年前に塔へ渡る前の弘法大師が若狭へとやってきたときに、三方五湖の景色を気に入り、この寺あたりで宿泊をしたらしい。その夜に、山にあった花崗岩に観音像を彫り始めたが、妙法石(鶏鳴石)の上でなく鶏の鳴き声で朝が来たことを知った弘法大師は、観音像の右手首の先を彫らずに下山したらしい。もし完成していたら、ここまで有名なお寺にはなっていなかったのかもしれない。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ3eEOaQAIrFA8-1024x768.jpg)
三方石観世音を訪れた 参拝者は本堂御宝前から御手足(おてあし)型と呼ばれる手足の形をした木型を借りる。お手足型には両手、両足それぞれの種類があり、それぞれの患部に対応した御手足型を持ち帰る。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/img_725928653770213752689890-1024x768.jpg)
そして、朝夕にお経を唱えながら、御手足型で体の悪い部分を撫でる。回復しお礼参りをする時に700円を添えて寺へ返納する。このとき、古い御手足型の代わりに新しい御手足型をもらえるので、それはこのまま本堂に納める。一方、古い御手足型は事務所へ返したのち、「御手足堂」に奉納される。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ3eGdaUAItYRx-1024x768.jpg)
本堂の隣にあるのが、御手足堂。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ3ePxaQAAPONA-1024x768.jpg)
返納された御手足の多さが、ご利益を物語っていた。手足の悩みというのは本当に切実のようだった。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ3eIxaMAAIV5v-1024x768.jpg)
御手足堂にいる片手観音の奥にもおびただしい数の御手足型や松葉杖などが奉納されていた。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ7AX_aUAAU0F5-1024x768.jpg)
本堂の中には大量の提灯が吊るされていた。同じものが大量にある光景だいすき。
![三方石観世音](https://tanoshii-daisuki.com/wp/wp-content/uploads/2024/03/FSJ7AYtagAE6NQJ-1024x768.jpg)
秘仏の石観世音菩薩は、33年に一度だけ開帳されるので一般の人も見ることができる。次の開帳は2026年10月の予定だ。
欠けているからこそ神秘的で様々な想像力をさせられそうな三方石観世音。次回の開帳の際には是非この目で見てみたい。あとお寺の管理者の方、とても親切な方でした。
2022年5月訪問
「三方石観世音」について
アクセス :JR小浜線 三方駅から徒歩20分(車で5分)
住所 :福井県三方上中郡若狭町三方22-1
参拝時間 :8:00~16:00