和歌山県那智勝浦町の『補陀洛山寺(ふだらくさんじ)』。
平安時代から江戸時代にかけて極楽浄土といわれていた補陀洛山(インドの南の先っちょ)目指した渡海上人たちを祀った寺だ。御本尊である千手観音は、国の重要文化財に指定されている。
これは海の向こうの観音菩薩がいるとされる聖地の補陀洛山へ、小さな舟で目指す修行「補陀落渡海」で使われた舟を復元したもの。本堂の手前に展示されている。
この四方を鳥居で囲まれた三角の館の屋形の中へ、約一か月分の油と食糧とともに僧侶が入り、渡海する。平安時代から江戸時代にかけて20回程度、この儀式は行われたそう。こんな小さな舟が和歌山の那智勝浦からインドの南までたどり着けるわけがない。ほぼ捨身行だ。
表向きは極楽を目指す為に僧侶が修業の一環として行う儀式なのだが、嫌がる僧侶を無理やり船に閉じ込め(中からは絶対開かない造りにして)、窓を閉じ釘を打って出航させたこともあったそう。つらい舟だ。
2021年9月訪問
「補陀洛山寺」について
アクセス :JR紀伊本線(きのくに線) 那智駅から徒歩5分
住所 :和歌山県東牟婁郡那智勝浦町浜ノ宮348