「病める方よ、貴方は現代医学にだまされてるとは思いませんか。」
そう問いかけるのは、秋田県由利本荘市の折渡千体地蔵近くを通る際に一瞬現れる『岩城修弘霊場』。「病気で苦しんでいる方 お参りに来て下さい」とアピールしている。
車で走っていると一瞬で通り過ぎてしまうし、ど派手な色使いであっただろう看板もほとんど朽ちてしまっているので見逃してしまうかもしれない。とにかくガンに効くんだと主張していただろうことはわかる。
入り口から2~3分ほど坂道を登ると、霊場にたどり着く。両サイドには日本各地の摩崖仏が写真で紹介されていた。かなりの量だった。
霊場の敷地はけっこう広い。手間位には天狗?達磨?が描かれた物置があった。
太い木の棒が付きだしている。サイドには菩薩の絵だ。
本堂の近くに寄って 確かめてみると、かなり電波な様子だ。細かい文字で霊場主の主張がビッチリと書かれている。
お参りするとあらゆる病が治るとして、個人で建設した霊場のようだった。その個人とはおそらく、多くの看板の末尾に署名されている「高橋修吾」氏だろう。ところどころ「高橋修一」氏の名もある。
この霊場の看板にビッチリ書かれている主張は、どれも同じようなもので、簡単にまとめると以下のとおり。
・エビデンスに基づく現代医学(医療)によって認められている病気はすべてウソ。だまされている。そんなもの数百年前はなかった。
・病は気から。人間は迷い、心を病むから病気になる。神は迷わないから病気をしていない。
・イエスと仏陀の教えこそが病気の発生メカニズムと治すシステムを伝えている。
・この霊場に来て考えを改めお参りすれば、あらゆる臓器の病気が今すぐにでも治る。それがこの霊場の目的だ。
・病気を一切しないことこそが、神の子である人間本来の姿である。
荒唐無稽な理論が、表現を変え文脈を変え、繰り返し述べられていた。
とにかく文字と写真の圧がすごい。こんなの全部読んでられないよ。
本堂の中をのぞくと、内装はきれいな状態で残されていた。しかし床の畳をよく見ると塵や土、何かのフンが散らかったままになっていたので、定期的に管理するような人は、すでにいない様子だった。
一方で、建物や看板の表面、たまに貼られている注意書きの紙があまりにもきれいすぎるので、やはり誰かが管理を続けているに違いないとも私は思っている。
敷地内の坂を上りきると、千体仏観音堂がある。
お堂の中には、3,012体の木彫りの仏像が置かれていた。大館市の中学校の元校長、菊池氏が彫ったものとのこと。菊池氏は平成四年(88歳)の時点で28,000体の仏像を彫ったとのこと。すごい。
本堂とは別に、かなり気になったのがこの「ヒロ子堂」。ヒロ子って誰だ?
この方がおそらくヒロ子氏。説明書きによると、このヒロ子氏が、人々の病気と苦しみを救いたい、治そうと発願して、この霊場を建立したと書かれていた。
えっ、岩城修弘霊場を建立したのは、名前が書かれまくっている高橋修一氏や高橋修吾氏ではないのか? 真相は私にはわからない。読めば読むほどに謎が深まる霊場だ。
しかしこちらの開場の石碑には、高橋修吾氏が発願したと書かれおり、手形まで祀られていた。よくわからないね。
他にも霊場内のあらゆる場所で、参拝者による病気が治ったとのアピールがされている。私は宗教やスピリチュアルな事柄に詳しくないので、とりあえずお参りすると、どんな病気でも治すパワーのある(という設定の)霊場ということはわかった。それ以外のことは全然わからないが、とにかく雰囲気がある場所だった。
「この霊山修吾の如し」
修吾すげえな。
すべてを紹介することはとてもできないので、詳細が気になる人はぜひ訪問してみてほしい。
結局、岩城修弘霊場の「岩城修弘」とは誰なのか、何なのかはわからなかった。読み方もわからない。
2021年2月訪問
「岩城修弘霊場」について
アクセス :JR道羽越本線 羽後岩谷駅から車で10分
住所 :秋田県由利本荘市芦川周辺