テーブルは1卓のみ!日本一小さい焼肉店『南大門』【北九州市】

珍スポット

たった一つのテーブルで楽しむレトロ焼肉店

 福岡県北九州市の門司港にある焼肉店『南大門』は、まさに日本一小さい焼肉店だ。 門司中央市場の一角、隠れ家的な立地にあるこの店は、店内にたった一卓、4人掛けのテーブルしかない。この特別感あるスペースで提供される焼肉の味は、地元民や旅行者を魅了している。私も電話で予約をして訪問してみた。

 門司中央市場という門司港レトロと呼ばれている観光地エリアからは少し離れた場所に位置しているため、偶然通りかかって見つけるのは少々難しい。そこがまた隠れ家的な魅力を醸し出している。

門司中央市場入口

 市場は「本当にこんなところで焼肉店が営業しているのか?」と疑ってしまうほどのシャッター下りまくりマーケットだった。こここそ本当の門司港レトロだろ。

“自分たちだけ”の至福の時間

 南大門のメニューには、タン、ハラミ、カルビ、ロース、ホルモンといった定番のお肉がそろっている。

 それぞれが新鮮で丁寧に下ごしらえされており、その味は絶品。

ちょうどいい酸味のキムチ

 どの肉も肉質がとても良い。普通に焼いて食べているだけでうれしい気持ちになる肉だった。

タン
肉のレトロ盛り(ハラミ、カルビ、ホルモン)
ハラミ
上ロース

 締めの冷麺も本当に美味しい。すべてが美味しい。

冷麺

 焼肉の美味しさだけでなく、店主の温かいおもてなしも魅力の一つ。調理カウンター越しの会話が楽しすぎて、てたまに食べることを急かされもする。(次のお客さんの予約もあるからね。)程よい緊張感で食事を楽しめた。

 座っているテーブルは外からは丸見えで、通路に面しているので、たまに通行人に話しかけられる。

店主・河内年夫さん

 店主の河内年夫さん(訪問時:81歳)は、かつて地元で人気を博した焼肉店『南大門』の経営者。体調不良で一度は店を閉じたものの、順調に回復。入院中に奮起させられるきっかけもあり「自分の体力でできる範囲で、また焼肉店をやりたい」との思いから、このミニマムサイズの焼肉店を始めたそう。

 門司中央市場にあった空き店舗に、自宅に置いていたテーブル1卓を持ち込んで南大門の営業を再開。現在では「日本一小さい焼肉店」として、ユニークな特長で地元だけでなく観光客にも愛されている。

訪れた感想

 私は「日本一小さい」というユニークなコンセプトに惹かれ、X(旧Twitter)で一緒に訪問してくれる人を募った。会ったこともない怪しい人間からのSNSでの募集だったのに、一人の青年だけが来てくれた。ほんまにありがとう!おかげさまで福岡旅行の最高の思い出になった。

 この特別感は、他では味わえない体験そのもの。「店が小さいからこそ得られる一体感と美味しさ」がここにはあった。

訪問アドバイス

 南大門は一卓しかなく、しかも人気店のため、本当に事前の確認や予約をしたほうがいい。店主の河内さんは本当に優しい方で、勝手に店の番号を登録されてしまったAI自動音声による電話予約代行サービス(AutoReserve)からの繰り返し繰り返しの電話着信にも真摯に応対していた。この店の営業体制からすると、うまく対応できないタイミングも多いので、AIからの電話問い合わせは増える一方。その分河内さんの負担が増える。本当に悲しい。自動予約サービスは使わないようにしてほしい。皆さんが電話予約する場合は、お店の事情も考慮して、うまくやろう。

 門司港レトロ散策の合間に立ち寄るのも最適だし、私の場合は新門司港からのフェリーに乗る直前に寄ったのでかなり効率的に訪問できた。心温まる唯一無二の焼肉体験が待つ「南大門」。アクセスと予約には少し工夫が必要だが、訪れる価値は十分にある店だ。

訪問日;2024年5月

「南大門」について

アクセス :JR九州 門司港駅から徒歩13分
住所   :福岡県北九州市門司区門司 老松町1−11
営業時間 :12:00ごろ~21:00ごろ(予約状況によって変わる。月曜休)