天空の村を賑わせる、住民より多い『かかしの里』のかかし達【三好市】

天空の村・かかしの里 珍スポット

 バス停で楽しそうに待合する男女、集会所の前で談笑する女性たち、 すべて等身大のかかしである。その数150体以上。事情を知らないとちょっとホラーな集落だと感じてしまうかもしれない。

天空の村・かかしの里

 徳島県三好市にあるのどかな集落、名頃地区は40人もいない住民に対して150体以上のかかしが暮らしており、「天空の村・かかしの里」と呼ばれている。ちょうど落合集落と観光地の奥祖谷二重かずら橋の中間あたりの場所にある。

天空の村・かかしの里

 カカシを製作していたのはUターンでこの地区に住む、綾野月美さん。最初は鳥よけに作ったカカシに声をかける人がおり、それが面白くて作りまくっていったらしい。もう今では立派なかかし作家だ。

 木や布に綿を巻き付けて人間の体らしい形を作る。髪の毛は毛糸、口元は縫ってシワを作り表情を出している。よく見るとかなり手間がかかっていることが分かる。

天空の村・かかしの里

 屋外に設置しているかかしは雨、風、日光により当然傷んでくる。そのたびに作り替えて新作を送り出しているというから驚きだ。集落を巡っていると、これ本当に一人で作ったのか?と疑ってしまうほどかかしの賑わいを感じる。しかもかかし一体一体それぞれに名前と人生の背景やエピソードが設定されているというからまた驚きだ。

天空の村・かかしの里
天空の村・かかしの里

 毎年人口が減りつつある名頃地区だが、綾野さんが作るかかしは増えていくし、そのかかしを目当てに全国から観光客が訪れている。何も知らなければ、観光地に挟まれており通過するだけの一本道の場所だが、ぜひ足を止めてゆっくりと名頃地区のかかしの暮らしを表情を見ると良いと思う。

 地区の休憩所にもたくさんのかかしがおり、前述のかかしたちの名前と人生背景が記されたノートもあるので必見だ。

天空の村・かかしの里

 毎年10月の第一日曜には「名頃かかしの里まつり」が開催されている。2012年に廃校となった旧名頃小学校で、毎年テーマを決めて活気あるかかしを展示しているそうなので、その日に合わせていくと楽しいかもしれない。

10月第一日曜に行われる「名頃かかしの里まつり」では、2012年に廃校となった旧名頃小学校にかつてあったであろう風景を、生き生きと飾られたかかし達により再現されています。

 ちなみに『天空の村』の由来は、名頃地区は標高が高く、晩秋には雲海に包まれる日もあることから、空に近い地域だということで名付けられたそう。

2021年5月訪問

「天空の村・かかしの里」について

アクセス :JR徳島駅から車で2時間
住所   :徳島県三好市東祖谷菅生629番地5
公式HP  :https://miyoshi-tourism.jp/spot/kakashinosato/(大歩危祖谷ナビ)