谷中でみんなが気になる『焼肉サラリーマン』はサラリーマン以外も行くべき店だ【日暮里】

　みんな大好き谷中銀座。駅からすぐ、夕焼けだんだんから先の商店街で昭和チックな雰囲気が味わえるということもあり、よく映画やドラマの舞台となっている。

　観光に来た人々は、昼はカメラを片手に谷中銀座で街歩きをしたり、インスタ映えかき氷やモンブランを食べる。では夜はどこでご飯を食べるかというと有名な日本一うざい中東料理店や伝説の会員制もんじゃ屋に行ったり、酒飲みは少し戻って初音小路で飲んだりするだろう。

　しかし少し待ってほしい。谷中銀座を歩いた時に絶対にみんなが気になっていたと思う店があるはずだ。それは『焼肉サラリーマン』。

　店名にインパクトがありすぎるためか、みんなチラッとは見る。しかし地元感が強すぎて、知っている人以外は誰も入らない店だ。でも、それはとてももったいないことだと知らせるために、この記事を書く。
　本当は自分が通うために自分だけの秘密にしておきたいが、「地元の人しか知らない、まつじのおすすめの店だぜ」と自慢したい欲望には勝てないので書く。サラリーマンの人も、そうでない人も、日暮里に来たら焼肉サラリーマンに行くしかないのだから。

　この看板。完全に地元の老舗だ。ワクワクする。

　もう肉の種類も値段もわからなくなるくらいに年季の入った看板。

　焼肉サラリーマンは谷中に店を構えて40年近くの老舗。80代半ばの超お姉さんが長年お二人で切り盛りされているお店で、結論から言うとどの肉も安くて美味くて多い。安くて美味くて多い焼肉店だいすき。

　お客さんはほぼ居酒屋的な使い方をされている地元の方か、この店の魅力を知っていて全国津々浦々から来る少数の人ばかり。店内の雰囲気も、観光客のことなどはまったく意識していない。場所柄、落語家の方々がひいきにしているようで、店の壁には落語会のポスターが貼られまくっていた。

　席に着くと、お通しの小鉢が出される。いつもだいたいおでんやおひたし系。焼肉屋ではなく家庭料理屋のような感じだが、これがちょうどよい美味さ。

1 安くて美味くて多い肉
2 絶対に食べろ。サラリーマンのユッケ。
3 サラリーマンだけではない、地元の方の憩いの場

安くて美味くて多い肉

　メニュー表を見て安いと思うか高いと思うかは人それぞれだが、注文した後は全員が「これ安くね？」と思うことだろう。肉が安いだけでなく、ドリンク類もお手頃価格なのがありがたい。

　焼肉は何を頼んでも間違いのないくらいに美味いが、特にカルビ、ハラミ、ロース、ホルモン系は頼んだ方がいい。タレを付けずに食べても美味い。タレを付けたらもっと美味い。

　※肉の写真はすべて一人前。

　タン。デカくて美味い。

　センマイ。辛くて美味い。

　上ミノとハラミ。歯ごたえがあるのに食べやすくて美味い。満足感ある。

ミノとホルモン。美味い。

　カルビ。めちゃくちゃ美味い。食べなければならない。

　ロース。めちゃくちゃめちゃくちゃ美味い。

　もう注文しまくってしまう。

絶対に食べろ。サラリーマンのユッケ。

　この店でとても驚いたことがあった。それは、焼肉サラリーマンのユッケは（もしかするとグルメな人の間では常識なのかもしれないが）肉にレモンとりんごが添えられている。

　もともとタレで甘く味付けされているが、このユッケの肉にレモンの汁を染みさせて、りんごと一緒に口の中へ運ぶと、ハチャメチャに美味い。ユッケのイノベーションというか、レボリューションというか、とにかく感動するくらいに美味い。

　この食べ方が日本全国に広まっていないのが不思議だ。この記事を書いている私が言うのも何だが、絶対にユッケ＆りんごはいつかパクられて日本全国に広まってしまうと思う。とにかくこのユッケを食べるだけでも焼肉サラリーマンに来る価値がある。

　完全に肉のスイーツだ。店に行くたびに何皿も何皿も注文してしまう。850円だが、とりあえず一人一皿は注文することをオススメする。

　店に入って最初に注文して、ある程度焼肉を食べたあとに箸休めに注文して、最後にデザートとして、一度の訪問で三回は注文したくなる。

サラリーマンだけではない、地元の方の憩いの場

　あと、いつも思うが、地元の常連さんには、お肉を焼かずに帰る人も多い。

　それは、ユッケや肉刺し、煮込みや豚足などの一品料理が美味すぎてそればっかり頼んでしまうから。そう、他に食べたいメニューがあるので、焼肉まで辿り着かないのだ。

　お通しの小鉢が出された時点で、この店は肉だけでなく一品料理もすごく美味しいのでは……？という直感がしたが、これは間違いなかった。

　特に豚足は安くて美味いので、注文している人が多い。

　ユッケだけでなく、その他の刺身系のメニューも充実している。

　ナムル盛り合わせやカクテキもオススメ。

　こうした一品料理を食べながらみんなお酒を楽しんでいた。常連さんは料理は２～３品しか注文しない代わりに、お酒を大量に注文していた。良い。

　店のお姉さんに、なぜ店名が焼肉サラリーマンなのかを聞くと、
「理由はないよ！でもサラリーマンから元気をもらっている！」と教えてもらった。だがしかしその時、私はアホで酔っぱらっていたので、
「客から現金をもらっている！」と聞こえて、それで店名が焼肉サラリーマンなのか！としばらく勘違いをしていた。後日別の機会に同じ質問をすると「この店に来る人はサラリーマンが多いから」と教えていただいた。